記憶に残る綺麗な人。1
記憶に残る綺麗な人。自分の中で色々な記憶があり、ちょこちょこ書けたら良いなと思います。
それは、私が幼い頃の記憶だ。
その頃私は田舎に住んでいた。
周りには田んぼ。
自然の中で育っていた時期。
私の住んでいるビルに、恐らく営業だったのだろう、ポーラか何かの販売員さんがたまに来ていた。
娯楽もない、スーパーも遠い、そんなところにはやはり必要なのかもしれない。
母が何か買い求めていたのかもしれない。
玄関先に見えるその人は、艶のある黒髪のボブで、マネキンみたいな整った容姿で、とても肌色が白く、スーツなのかな、制服なのかな、かっちりしたジャケットを着ていた。
幼い私の中で強烈に印象を残したのは、口紅の色。
こっくりとした深いオレンジの口紅。
田舎では見たことがないような、インパクトのあるシックな色が、その人のしっとり艶やかな印象にばっちりハマッていたのだろう。
いつ来ても同じ色の口紅であった。それが、良く似合って見えた。
母が赤い口紅を外出の際つけていたが、口紅といえば赤だと思っていた私には、とても新鮮だった。
いつもドキドキしながら、ちょっと離れた部屋からそーっと様子を見ていた。
その口紅の発色、オレンジの色が、私の中でその人のトレードマークとなり、大人になった今でも、洗練された女性だった、という印象を残している。
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